とにかく豪華でした。
久しぶりに、こういう正統派豪華芝居を観ました。お値段も豪華!
日本でどうしてもミュージカルが定着しないのはチケットが高価なせいだ、という意見に私も激しく頷きます。まあ、そうは言っても、一定以上のレベルの演技力と歌唱力を持つ役者さんを確保しようとするとどうしたって…という事情はわかるんですけれども。層が薄いんだろうなあ。
日生劇場にははじめて足を運んだのですが、良いですね。
一階十列目という実に恵まれた席だったのですが、舞台が近い!オーケストラピットもあるしもっと遠いかと思っていたので、これは嬉しい誤算でした。
三階席までありますが、実質三階席が二階席、という感じ。二階席はどちらかと言うとボックス席に近いつくりだったように思います。
パンフレットに書いてあるあらすじ以上のことを何一つ知らずに行ったので、最後の最後までどう終わるのか、どこへお話が走っていくのかがまったく見えずにハラハラしました。そうか、お芝居って、こういう楽しみ方もあるんだな…としみじみ。
まったく筋書きを知らないお芝居でも、まあラストは大団円だよね〜という安心感を持って観ている自分にもここで気付いて二度びっくり。
以前に観たことのある本格的豪華ミュージカルが四季の「CATS」だったので、それとの比較も楽しかったです。とは言え四季を観たのはもう十年以上前だったのですが、まあそこは気持ちで。
翻訳モノで、かつ台詞がオール歌詞、という状況の厳しさがよっくわかりました。
CATSは、あれは元々詩を強引にお芝居仕立てにしたものだったので、歌詞がよくわからなくても問題はなかったんですが、こちらは怒涛のストーリーががっちりあるので、ついていけないと大変です。
幕間休憩で、一緒に観に行った友人と「なんかやけに疲れるね」と言い合ったのですが、その疲労の原因は、(一幕の長さもありますが)「台詞をちゃんと聞き取らなくちゃ!」という緊張のせいだったのかも知れません。
別段役者さんの発音に問題があるわけではなく、これは単に訳詩のせいだろうなあ…音楽的に美しい符割と、人が聞き取りやすいテンポの間にはどうしたって大きな溝がありますし。
最初の台詞を言う役者さんがノーマイクだったのにぎょっとしたのですが、他はマイクありでほっとしました。あまりにも聞き取り辛く、これがずっと続いてしかも音が入るのか!?と不安に…。
実際は、マイクありでも聞き取り辛い台詞はかなり多く、おまけに歌になってしまうと別のメロディーで別の歌詞を同時に歌ったりなんかして、ますますよくわからないことに。困りはしないんですが、地味にこういうのってストレスでした。
物語は……うーん、そうか、こういうのがヒットするのか…という気持ちになりました。
まあ、シェイクスピアなお国柄だもんな…
あ、ソニンがむたくた歌が上手くて、それが一番の驚きと感動ポイントでした。(2007/1/28)
オフィシャルブログはこちら。
公演終わってるけどその後更新がないな…グッズやDVDの販売もあるので、当分オープンしているとは思うのですが。
初日と千秋楽、行って来ました。贅沢を言うならば中日にもう一度くらい観たかったのですが、生憎スケジュールが合わず断念。行きたかったんだけどな、というわけで、非常に楽しいお芝居でした。
見目麗しい若い役者さん四人がメイン、となるとどうしたって不安いっぱいなんですが、脇を固めているのが津田寛治に野崎数馬と非常に豪華。おいおい私でも名前知ってる人だよ…!(特定の劇団や小さいところしか観ない、あと何よりテレビ観ないので、ほんと役者さんの名前に疎いのです)黒田アーサーもいたんですが、わたくし彼のことは本当に名前しか知らなかったので、とりあえず今はおきます。
物語は、「ロックじゃ命を救えない!」と一念発起した超売れっ子バンドマンが、「医者になります!」とバンドを解散するところからスタート。
配布されていたチラシでも公式ブログでもさんざん見たこの文句、「そうは言ってもそんな簡単なもんじゃないだろ、医者になるって…」と思っていたのですが、これがあっさり「実は俺たち医大生バンドでした」で解決。…なるほどね…。
しかし武道館でライブできるようなバンドの解散、よく事務所がうんと言ったなあ。最初インディーズだと思ったんですよね、あっさり解散とか言うから。
ちなみに武道館の収容人数、約14,000ね。BUMP OF CHICKENがライブやるときの定番Zepp(大阪)が収容人数約2,000。劇中の台詞のとおり、「知ってる!顔わかんないけど!」レベル。すごいよこれ。
研修医として病院にやってきたのは、元バンドマン二人と、ごく普通の子、あとなぜか東大医学部を主席で卒業したのに大学病院へ行かなかった変り種。
主人公である元ボーカルと東大卒の対立、それから主人公の父であるこの病院の院長との衝突と和解、それらがガンガンにノリの良い歌に合わせて語られます。
物語は当然大団円。最初はぶつかっていた四人の研修医たちも、彼らの指導医も主人公の父も、皆幸せ!で幕が閉じます。
…………ちょっと待って一人死んでるんですけど…………
こ、殺す必要あったのかしら…!私はどうしてもあの部分に必然性が感じられない…
「自分が治療に当たった患者の死に接する」場面がどうしても必要ならば、もう少し違うやり方もあったんじゃないのかな…。…いや、あの症状ならあの展開は当然と言うか、ああなっちゃったらもうああなるしかないっていうのは、よく知ってるんですけど。
…ってあ、気付いた、あの後の黒田アーサーの台詞がひっかかるんだ。「脳震盪の患者を死なせるなんて!」
あれがたとえば、「頭部外傷は潜在的危険を多く孕むものなのに、脳震盪だと軽く見て安易に治療行為をするとは!」みたいな台詞なら、もうちょっと納得がいったかも知れない。
それ以外はほんと言うことなし!
ロックじゃ人を救えない、と言って音楽をやめた主人公が、最後の一番大事な手術で音楽をかけないとか、バンドにたとえることを強く拒んだりとか、言行がかちっと一貫している。
どのキャラもとても魅力的だし、笑いと泣きの配分も絶妙。
若手のガンガン押すお芝居と、ベテランの静かにみせるお芝居(黒田アーサーと津田寛治のあのシーン!)、それから一人で会場の笑いの半分以上をかっさらっていった野崎数馬!
メイン四人と比べるとどうしても印象は薄くなるのですが、ヒロインにあたるミコを演じた肘井美佳が、とってもとっても可愛かったです。ミコという役もすごく素敵。男性メインのお芝居で、こんなに魅力的な女性キャラに出会えるとは、正直思ってもみませんでした。
観ると元気になります、とキャストたちがブログで言っていましたが、本当に元気をもりもりもらいました。
あ〜、CD出ないかなあ…主要三曲だけでいいから!予約特典とかでつかないかしら。…実は劇場で予約しそびれたんですけれども。
<以下雑談></雑談終わり>(2007/1/25)