こちらも短編集。「深追い」と一緒に購入して一気読みしたので、印象は薄め。まあこんなもんかなー、という感じ。ただやっぱり質は上で安定。クライマーズ・ハイとか、有名どころの長編にも手を出してみようかなあ。(2007/10/6)
ちょろっとぐぐったらこの人は警察小説を専門にやってる人だそうですね。警察モノ多いと思ったんだけど警察モノ専門とは。なんか納得。
これも短編集です。質のいい短編集が書ける人というのはまれなのでありがたいです。
さっくり読めて起承転結もあってオチもスッキリという、文句なしの短編ばかりです。
慣れてくるとオチが読めるんですが、作り込み方がうまいのでそれでも楽しめるのがナイス。(2007/10/6)
まさに私小説、という感じ。
読んでいる間はエンドレスなセックスと彼氏描写にウンザリするんですが、ラストは一応オチもつくので読後感は普通くらい。恐怖感を求めてこれを読むと肩すかしをくらいますが、ちょっと爛れた感じの恋愛小説と思って取り組めば、納得のいく出来映えです。
ベトナムの彼氏への心境の変化がやたら生々しくて、そこがツボでした。(2007/9/25)
休日昼ご飯を買いに行ったコンビニで、何となく見つけて手に取った一冊。以前に「半落ち」を読んでいたし、中身は短編集らしいし、ということでパラ見もせずにレジへ。
大当たりでした。
ひとりの検視官をキーパーソンに据えて、様々な自殺他殺を描いた作品です。主人公ではない、という立ち位置が絶妙。カメラは常に別の人間の視点にセットされていて、その視界に色々な形で検視官が登場します。主人公の上司のときもあれば、ほんの数行噂話や又聞きでしか出てこないこともあります。その距離感がいい。
警察モノはほとんど全く読まないのですが、こういうジャンルがあるのなら色々当たってみてもいいかなあ。
横山秀夫集めてみようかな。(2007/9/25)
2007年読書、暫定二位。現在トップは「夜の来訪者」。
フェルマーという人の残した「予想」を証明することに生涯をささげた人たちの足跡を辿った本です。
いやもう書くべきことが見当たらない…!
数学というものがかくも詩的であるということを知ることができただけでも、この本を読んだ価値があると思います。
数学・算数から逃げ回ってばかりの人生を激しく悔やみました。真面目にやっていたら、もっともっとこの本の面白さが理解できたかも知れないのに!(2007/9/17)
デビュー作以来の上野千鶴子。この人のお弟子さんと思しき人々が先鋭なので、ご本人はよほど…と思っていたら、非常にマイルドでした。先頭を切る人というのはこういうものなんでしょうか。
自分に関係のありそうなところをぽつぽつと拾うかんじでサックリ読了。
やっぱり不動産は欲しいな。(2007/9/15)
桐野夏生はもう読まないだろうな〜と「OUT」を読んで思ってたんですが、妹が「時間つぶしに買ってきた」とポイと投げてくれたので寝る前にさらりと読んでみました。
ん〜相変わらずなんて言うか、半端だな…
この、読み手に結論をゆだねるという姿勢が私は苦手なんだろうか。
OUTにしてもこれにしても、確かに取り扱う題材や登場人物は非常に強烈な印象を人に与えます。が、それだけ。
いずれにせよ私にはちょっとハードルの高い作家です。
あ、でも谷崎に同名小説があるとのことなので、こっちはちょっと読みたいな。(2007/8/14)
巷で話題になっていたので前々から気になっていた一冊。
ただし、宣伝でよく使われている、「刑務所に入りたいなら放火じゃなくて窃盗とかもっと軽い罪で…」みたいな、笑える言葉はほとんどなし。
どちらかと言うと厳しい言葉、あるいは判決を受けた人に対する思いやりのあらわれた言葉がメインです。
ただやっぱり、著者によるとこれは相当なイレギュラーの様子。
普通は判決文とか読み上げるだけなのに、あえて最後にひとつ付け足したりした言葉とかを拾い集めて作られた本のようです。
一つだけあげるとしたら…うーん、やっぱあれかな、「君たちは犬のうんこ以下だ」かな。スゲェ。(2007/8/14)
ホントの幽霊系怖い話から都市伝説にリアルストーカー強盗にいたるまで、ありとあらゆる「怖い!」お話を収録。別のエッセイシリーズから、「恐怖」をテーマにチョイスして書かれたもの、だそう。
「あーこれ聞いたことある!」という話あり、「ヒィイイまじこぇえええええ」まで色々。
私は役者さんとしての室井滋さんがけっこう好きなんですが、エッセイ類はまったく読んだことがなかったので、新たな魅力に開眼!という感じです。
一芸に秀でた人って、なんだかんだで引き出し多いよなぁ。
なんだろう、経験が豊富だから?
それとも役者さんをやってて、普段から色々なテキストに触れているから文章も書けるからなんだろうか。(2007/8/14)
本を読むときいつも参考にしているサイトで紹介されていて、ずっと気になっていた一冊。
読み終えて、思わずすぐにもう一度読み返してしまいました。
小説だとばかり思っていたら戯曲でした!驚き。
でもこれは確かに戯曲でしか表現できないなぁと思いました。
舞台で観たい!
あらすじは、と言うか、舞台は一箇所。
第一次大戦前の、とある裕福な家の食堂で物語りは始まり、そして終わる。
どこからどこまでが本当で嘘なのかが最後まで全くわからない!
舞台の上では大事件が起きたけれども、本当にそれが大事件に「なる」のかは読み手の想像に委ねられる。
何より怖いのが、シーラとエリック以外の人間の意識が結局最後の最後まで変わらないところ。
幕が下りた後、「変わらなかった側」の人々が一体どうなるのか、そして「変わった側」は一体どうするのか、興味がつきない。
単行本「みんな元気。」が文庫落ちにあたり二分冊されたうちの、後編に属する方。「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」という書下ろしが収録されていたので買ってみました。
舞城について書くときはもう何度も何度も書いていることだけど、やっぱり主題は家族。スクールアタック…もそうだし、我が家のトトロもそう。
ソマリア…だけは唯一阿修羅ガール的テイストなんですが、それでもやっぱり、ああこの文庫に一緒に収録するために書かれたものだなあという空気がありました。壊れてしまった家族に、それでも必死でしがみつく少女の姿。描写が痛々しいのは相変わらずの舞城、今回も舞城節炸裂です。この人痛覚ないんじゃないの、というくらい容赦なく淡々と骨折の様子なんかを描かれると、もうそれだけでHPが削られる気分。それでも読むのをやめられないのが舞城なんだよなあ…なんて思いながらページを繰りました。
この人の面白いところは、世相を反映していながら、それがいつまでたっても古臭くならないところ。女の子や男の子の言葉遣いにせよ、登場人物が観ている映画にせよ、なんだかんだで「絶対色あせない」ものをうまくチョイスしている。言葉ならば方言(証拠に、ソマリア…に出てくる東京出身の少女智春は非常にスタンダードな標準語を話す。)、映画ならば土曜洋画劇場では放映されないような映画。絶妙のチョイスだよなあ…
で、結局のところ、「そこに救いはあるのか?」というのがどうしても気になってしまうわけですが。
あったのかな、なかったのかな。あるような、ないような。でもそれがジンセイってものなんじゃないのー、なんて思いながらページを閉じました。そういえば夏のyonda?のキャンペーンがはじまってるなあ、などと思いながら。(2007/7/7)