映画想文2

映画と言いつつDVD鑑賞が大半。ネタバレしてます。


DEATH NOTE前編

一番の衝撃、レイ・岩松
岩松て…!
映画の中で一番笑った箇所でした。なんで岩松?ねえなんで?どちて?ホワイなぜに岩松?
いや確かにアニメでも声優さんたち皆「レイ・ペンバー」て言いにくそうにしてたけど。(聞き取り辛いしな)
でも岩松って。

さて感想文です。なんか超今更ですが、まーいいよね。後編は、原作とラストが大幅に違うらしいので、映画館に足を運ぶ予定です。
ネタバレありのゴン長い感想文です。

無理なくさっくり行ってたなあ、というのが全体の感想。
ただ、細かい仕込が多かったので、果たして原作未読の人間があれでわかったのかな?とは思いました。かと言ってポテチだのシャーペンだのについてだらだら説明されても困るので、あれはあれでいいんでしょう。なんとなく雰囲気が掴めたらOK、という切り方はいい感じ。原作から、絵的にきれいにおさまり、かつ説明の必要のないエピソードを拾って月の頭の良さを演出するという狙いはうまくはまってたんじゃないでしょうか。

月が捜査本部に乗り込むまでで前編っていうのは区切りとしてもすっきりしてるし、前編だけで大きなヤマ場もちゃんとあって盛り上がって、前編だけを観てもそこそこ満足できます。原作ファンじゃない人があれを観て、後編を見に行く気になるかと言われたら微妙な気もしますが。

前編はどうもLよりも月の頭の良さを描くことに重点が置かれているようなので、たぶん後編はL大活躍なんじゃないかなあと予測。
後編からストーリーに絡んでくるキャラ(ミサ)もサブリミナルっぽい出方をしていて、なるほど最初から前後編で企画されるとこういうことができるのか、とちょっと感心しました。(邦画で最初から前後編で組まれた映画って寡聞にして知らないのですが。洋画だと最近指輪とかナルニアとか、最初から何部作って組まれてるのけっこうありますよね。ハリポタもか。)

オリジナルキャラが出ますよ、というのを知っていたので、どんなだー、と思ってたんですが、あれはいいなあと思いました。激しくいやだという意見もちらほら見ていたのでどんなトンチキ彼女だろうと思ってたら、作中唯一と言っていいくらいまともでいい人だった…。

オリジナルと言うのならむしろ、原作に出てはいるけど全然違う扱いをされていたナオミの方じゃないでしょうか。
最初から最後までトンチキな行動しか取ってないよ!
最後の展開については操られていたからという理由がついてましたが、いや、操られる前の言動からして十二分に電波だよ、あれ…(登場シーンからドン引きだったよ!「あなたに出会ってしまったからよ」とか言われても…)

あと原作もそれに近いから仕方ないとして、ナオミと詩織、容姿かぶりすぎ。
なんでふたりしてセンターワンレン?おまけに両方黒髪。立ち位置としては詩織は高田なわけだし、だったらショートにするとかなかったのか…いやどうでもいい箇所なんですけど。
て言うかそれを言うならナオミの黒尽くめ(しかも革)の方がどうかしてるとは思うんですけど。

で、岩松さん。
岩松さんね、彼ちょっといかがなものかしら…FBI捜査官なのに、素人に尾行気付かれちゃうって…(原作ではリュークが月に教えていて、月自身は気付いていなかった)
車中のトランシーバーでの会話なんかとあいまって、非常におつむゆるい子に見えます。月を目立たせるためとは言え、ウーン…。まあいいのか雑魚さんだから。…いいのかなあ。

藤原月については、私はわりと文句ないです。
キャスト聞いて、「ああ、まあ他にいないよなあ」と思いましたし。藤原竜也たぶん好きなんだな、私…。
まあ贔屓目なんですけどね!演技が舞台舞台してていちいち大げさなのはもう彼のお家芸だし、たぶんキャスティングした人にしても、そういうのを期待してふったんじゃないかな。原作の月がまず、相当芝居がかったキャラだし。
うんはい藤原竜也好きなんですよはいはい。

違和感て言うならむしろ局長かな…なぜあえて彼を選んだのか。
なんて言うか、すごく悪そう。
原作の夜神局長は作品の良心とも呼べる「善人代表」だったのに、なんでこの人配置したんだろ。と言うか、なんでこの脚本に?
うまく指摘できないんですが、「貴様、まだ疑っていたのか!」とかのあたり…あ、そうそう、「悲しい」より「怒り」が先行している感じ、あれが違和感の源なのかも。原作の局長は家族大事で、「大切な人を守る」が「無辜の市民を守る」にきれいにリンクしていて、そこが彼の、あの年齢にも関わらず感じさせる不思議な純粋さであり魅力でもあったと思います。それがなかったんだよなー。
鹿賀局長が悪いわけじゃないんだけどなあ…
あとは、性格の改変にシナリオ上の必然性が見出せなかったのが原因かな。

まあ文句はおいといて。

捜査本部の面々は、松田しか認識できませんでした。うんまああの人数だしな、と言うか松田がわかるようにしてくれてただけでも凄いよ!若い女性が入っていたのは政治的配慮というやつですな。
ワタリもこれ以上ないくらいワタリ。むしろ彼がワタリのモデルなんじゃないか。

ミサは後編にならないと真価がわかりませんが、ビジュアルに違和感なしなので省略。リュークも、もともとアニメを先に観ていたこともありますが、声違和感なし、CGもうまいこと3Dになってて、これも拍手。
月との絡みも、ロングで撮ったり視線を合わせない演技が多かったりと、違和感軽減の工夫がされてるなあと思いました。
(あとこれ予告観た感想なんですが、レムの声はあれで大成功だと思う…!アニメはどうなるのかなあ)

で、真打、L。
これ、あちこちでほんっと色々な感想を見ていたのでハラくくってたんですけど、いや案外良かったよ!
映画の大画面で見たら笑ってたかも知れないけど!
アップで見るとウフって感じでしたが、立ち姿とか座り方とか、たたずまいが何ともLでした。…ただ画面に出てくるたびにもっそい大量の甘味を食べてたんで、見てて軽く胸焼け起こしましたが。
演技はどうなんかな…まだ出番少ないしなあ。
ただ、ちまたで騒がれているほど変わった演技はしていないな、と思いました。
…まあ原作のLがそもそも色々アレなんで、あれをなぞるだけで十二分に珍妙な演技になるか…
センテンスに不自然な区切りをつけて喋る、というのは、一工夫という感じでした。あれは原作にはない要素ですが、あっても不思議じゃないなあと。(アニメの勝平Lはそういうことはしてません)

気になったのが、捜査本部とLの対立というか、確執かな。
「正義は必ず勝つ」という決め台詞を、Lがものすごく場違いなところで出していて、捜査本部もなんだか白けてる。(局長怒ってたしな)
あれがちょいと残念でした。原作のあの場面好きなんだよなあ。

こんなもんかな。
すっごい長くなったな!文句いろいろ書きましたが、全体としては良かったと思います。原作のイメージを損なわないようにかなり注意深く作られてる、という印象を受けます。
なんだかんだで原作ファンからの半狂乱のバッシングは聞いたことないので、そんだけで十分じゃないでしょうか。(2006/11/30)

時をかける少女

映画はじまっていきなり、なんか絵がどっかでみたことあるな…あ、エヴァだ、と思ったらその直後にクレジットでキャラデザが貞本と判明。ちょっと笑いました。
とは言え、エヴァの香りはまったくしないストーリーだったので気になりませんでした。…いやちょっと千昭がカヲルくんの香りだったけど。

声をあててる人まったく知らずに行ったんですが、よかったです。
全員よかったなあ。ベストはヒロイン。ほんとむちゃくちゃよかった。声優が本業じゃない人のようですが、本職並みのいい仕事してました。
本業が声優じゃない人が声をあてるのって、わたしは実はあんまり好きではないんですが(当たりはずれがあまりにもデカいんで)、今回のこれは本業じゃない人を使って大正解だったと思います。なんていうのかな、観客に先入観抱かせたりとか、あと観客の思考がわき道にそれる(この声聞いたことあるなー誰だっけ、みたいな)のを防げてた感じ。
あと妙な話だけど、若い子の役を若い役者にさせるのって、やっぱりすごくいいんだなと思いました。だって若いから、若さを演じる必要がない。そこにあぐらかいちゃうとアウトですが、妙なテクニックなしに体当たりでやれるってのは、ほんとそれだけで素晴らしいんじゃないでしょうか。私はそう思う。
そういや一緒に観た方におしえてもらってびっくりしたのが、アシタカ。ぜんっぜん気づかなかった…!

お話

これもまた、原作読んだことあるしかなり昔内田有紀と袴田吉彦と河合我聞がやったドラマも観てたんですが、骨格だけ覚えてて詳細をすっぱり忘れてたせいで、もっそい楽しめました。
キャラの名前が違ったので、「ん?」と最初に思ったんですが、名前変えて正解。大正解。
名前同じにしちゃうと、もうそれだけで原作知ってる人間は先がぜーんぶわかっちゃうもんね…
というわけで、後半近くになるまで私はずっと、「で、どっちがケン・ソゴルなのよ?」とかなりどきどきしていました。
いやーあっちなのが順当かと思いきやこっちだった!でも後で思い出したらちゃんと伏線もあった!
…っていうのはまあ、どうでもいい、古いのを知ってる人間の勝手な感想なんですが。
そういうの何もなし、予備知識前知識一切なしで行ったら絶対にいい!と思います。て言うか情報一切入れちゃだめだと思う!もういっそ原作のことも全部忘れて行くのがベストです。

その他雑感

原作では確か、ヒロインはふたりの男の子から好かれてるんですが、これを変えたのは本当に大正解だったと思います。
だってどの子も好きなのに、一人ふられて悲しい思いをしなくちゃいけないとなると、もうこれだけで確実に、後味が落ちちゃいます。(悪くなる、とまでは言わない。でも切ない気持ちが残る)

もう一人の男の子とくっつく女の子も、絶妙。
地味で目立たないキャラだし、出てきて語る言葉もものすごく少ないんだけど、「ああ、ほんとに好きなんだ!外見とかで騒いでる子じゃないんだ!」って納得させられるエピソードだったので、くっついたときに素直に祝福できるし、ラスト近くのあのシーンでは本当に心臓がちぢみあがるような思いにさせられる。あれ、あの女の子に好感持てない状況だったら、あそこまで場面盛り上がらないと思う。

あとはなんと言ってもケン・ソゴル(便宜上こう呼びます)のキャラメイク!
ほんとうまい…!
何かが突出してるわけじゃないんですが、ひとつひとつのエピソードが文句なしにかっこいい。肩肘はらずに自然体ってところがいいのかなあ。

と言うか、演出が良いのかも知れない。
ふつうだったら多分、中庭で水道の蛇口を閉めるシーンなんか、もっとかっこよく見せるために色々やると思うんですが、あれをさらっとやることで、彼自身があの行動をごく自然にとってるっていうのが出てる。

消火器の場面もそう。
アップを使わず引きであえて映したり、あとは、ラストシーンもですが、顔(と言うか、目元)を隠したり。

昨今のアニメって、(とかくくれるほど観てはいないんですが、観ていないからこそ抱いてる印象)CGの発達でびっくりするくらいリアルで細かい画面を売りにしてて、その絵をみせることに主眼を置いてるんじゃないのかと言いたくなるようなのが多い気がするんですが(はからずもこの映画の前のCMでやってた「パプリカ」とかね)、画面からそういう、無駄、と呼べる装飾を排除したうつくしさを見せてもらった気がします。

いやまあ最初はびっくりしたんだけどね…!(笑)冒頭で野球してるヒロインのシャツに影がなくて!(笑)でも慣れると、あれがベストだなあと思える。どんな物語にもそれを語るにもっともふさわしい手法があると思いますが、この映画にはあの絵なんだなあと、ほんとに心から思います。

ラスト近くのあの夕日のシーン、あれ、ほんとにほんとに、美しかった。
思い出すだけで胸がきゅんとなります。男の子のあの顔が…!あの顔がたまらん!

あとね、ヒロインの泣き顔がめっさ可愛かったです!

あともういっこ、千昭のリストバンド!
無駄のないデザイン、というものに激しく弱いのです。

「下妻物語」

松子があまりにも面白かったので!
でもこれはむしろ嶽本野ばらに驚きました。こんなお話書く人だったのか!この人のほかの本を買ってみようと思います。

深津恭子は富豪刑事(一回観ただけだけど)を観て、「あれこの子こんな可愛かったんだ」と思ったくらいわたしにとって印象の薄い存在だったんですが、これはうまくハマってたな。なんだろう、むしろアテガキとかだといいんだろうか…

あと土屋アンナ!
あの低い声がよかった〜!すごんだり啖呵きったりヤンキー口調で話したりっていうのが無理なくて、もうそれだけですげーと思いました。あれ声の高い子がやるとなんか痛々しいんだよな…

話の着地点も好きです。軍配は松子に上げるけど。(2006/6/11)

阿修羅のごとく

昔のドラマのリメイクだそうですが、時代を現代に動かしたりしなかったのは大正解。これをへたに現代版にしてしまうと、あちこちで物語が破綻してただろうな…

深田恭子演ずる四女だけが、そっくりそのまま現代に持ってきてもおかしくないような生活してるんですが、これだけがちょっと悔しかったです。
そっくりそのまま持ってきてもおかしくないってことは、舞台になった昭和五十四年当時は相当変だったはず。アタマではわかるんですが、感覚でその違和感が捕らえられなかったのがくやしい。くー。

それにしてもすごい時代で、ほんとびっくりしました。 でも本質は今も変わってないな…
そうそう、長女の夫が、妻の実家でもやたらいばってたりとか、長女がやたら夫に自分のほかの姉妹のこと頼んだりするなあと思ってたんですけど、これはあれか、「長女の夫=義理跡取り息子」になるからか…。

それはおいといて、キャストがやたらめったら豪華でびびりました。すげー。にしても小林薫は不倫してるとかそういうダメな男やらせるとほんとうまいですね。(2006/5/27)

「12人の優しい日本人」

トヨエツの若さに感動。

舞台で観たら面白かった、の、かな…?
なんか舞台を意識してるのか、役者がほぼ全員舞台っぽい演技をしているなあ、というのが印象に残りました。
あえて映画にした意味が見えない。
物語にはそれぞれ中身にもっとも適した表現方法があって、このお話の場合はまさに舞台がそれだと思うんですが。(2006/6/11)


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百shebeem@infoseek.jp